
スーパーに行くとき、散歩に行くとき、近所の友達の家に行くとき、布の袋に財布や手帖などを入れていくことが多い。たいていはどこかのお店でもらった、ペラペラの一枚の布袋。お買い物したものを入れるためのエコバッグなのだが、昼間に葉山をうろつくのにヴィトンのバッグは似合わない。エコバッグは汚れたら洗濯できるし、軽くて手ぶら感覚で持てるので、気に入ったデザインのものが2〜3枚あるとけっこう重宝するのだ。
その日も、エコバッグを持って鎌倉をぶらついていた。そして若宮大路の「Patagonea」にて、これからのシーズンによさそうな麻のカジュアルなシャツを見つけたので購入。レジで支払いを済ませると、シャツを丁寧にたたんでいたお店の人がひとこと。「品物を入れる袋はお持ちですか?」。袋を持っているので「ハイ」と答えると、お店のテープをタグにぺたりと貼り、シャツをぽんと手渡された。
もともと私は買い物をしてそれが自分の袋に入るものなら、手提げ袋はもらわない主義。本や小さいものは袋に入れずにテープで済ませる。しかし今日買ったのは本ではない。服だ。買ったばかりの白いシャツを財布やペンなども入っている手持ちの袋に入れるのに躊躇してしまった気持ち、わかってもらえるだろうか? しかし、patagoniaスタッフの堂々とした誇りあふれる態度にそのためらいはさらりと吹き飛ばされた。店を出て「こういうの、いいな」と足取りもちょっと軽くなったりして。
「Patagonia」のホームページを見ると、「Patagonia」という企業がさまざまな環境問題に取り組んでいることがわかる。すべてのコットン製品を農薬や化学肥料を使わないオーガニックコットンに切り替え、フリース商品はもちろんペットボトルから再生、塩素系漂白剤の使用を中止し、印刷物は再生紙を使い、原材料の輸送は排気ガスの出ない鉄道を増やし、売上の1%を環境保護のために使う。
う〜む、素晴らしい。そうやって知恵と誠意を尽くしてつくられた商品を買うわれわれが、お持ち帰り袋1枚持ってなくてどうする。真摯な取り組みをしている企業を前に、一個人がそんなことすらしてないのって、恥ずかしいではないか……。よし、今度からエコバッグの中にもう1枚エコバッグをしのばせておこう。そんなふうにバッグの中に小さくたたんで入れておけるのも、エコバッグのとってもいいところなのだから。
※この日記は、HP「湘南住的探訪」内の葉山ポレポレ日記に書かれたものです。